第21章 美しい若い主婦(6)

葉山天の言葉は決して追従でも何でもなく、心からの言葉だった。鈴木美香が自分から三十代だと言わなければ、葉山天は間違いなく彼女を二十代の美しいお姉さんだと思っていただろう。

「そういえば、鈴木おばさん、この人知ってる?」

葉山天はふと渡辺文のことを思い出し、ポケットから名刺を取り出して鈴木美香に渡した。

鈴木美香は葉山天から名刺を受け取って見てみると、何か心当たりがあるようだが、すぐには思い出せないようだった。「この人の名前、どこかで聞いたことがあるような気がするけど、すぐには思い出せないわ。誰からもらったの?」

「お父さんの事務所で見つけたんだ!」

葉山天はそう答えた。この渡辺文と...

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