第36章 意気投合

「もういいよ、自分で取ってくる!」

佐藤遠は妹のうるさい言葉に耐えられず、自ら立ち上がって部屋に戻りワインを取りに行った。佐藤絵里奈は勝ち誇ったような笑みを浮かべ、葉山天に向かって舌を出した。

「葉山お兄さん、葉山おじさんが最近何かあったって聞いたんだけど、今はどうなの?」

佐藤絵里奈はようやく思い出したように、前回兄から聞いた話を持ち出した。

「お前ら何をヒソヒソ話してるんだ?何がどうなったって?」

佐藤遠が大切にしていた赤ワインを持って出てきて尋ねた。佐藤絵里奈はまだ葉山天の父親が亡くなったことを知らなかった。「お兄ちゃん、葉山おじさんのことを聞いてるの!」

佐藤遠の表情が一...

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