第40章 太った女

綾瀬玲奈に手を引かれながら店に近づくと、やはり入口には広告が貼られていた。カップルは全品2割引という目立つ看板に惹かれてか、多くのカップルがこの服飾店に入っていく。店内の商品は高級ブランドというわけではなく、最も高価なものでも2万円に満たないだろうが、デザインは新しく、男女の服がずらりと並び、目移りするほどだった。

「あれはどう?」

綾瀬玲奈がマネキンに着せられたスリムなスーツを指さして葉山天に尋ねた。葉山天はその視線を追い、悪くないと思った。従来のスーツのような古臭さはなく、若々しく活気があり、若者が着るのに適していた。

「綾瀬姉さんの目は確かだね、すごくいいと思うよ!」

葉山天は...

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