第42章 動揺(1)

「テレビでも見ていて。食事を作るから!」

綾瀬玲奈は物を隠し終えると、そう言って出てきた。葉山天はめったにテレビを見ることはなく、たまにニュースを見る程度だった。彼はネットを使おうとしたが、パソコンがないことに気づき、仕方なく綾瀬玲奈のノートパソコンを借りることにした。

「ママ、ノートパソコン貸してくれない?ちょっとネットで調べものがしたいんだ」

葉山天は病院開業の手続きや、おおよその資金投入などを調べようと思っていた。病院を開くのはお父さんの昔からの夢だった。お父さんは医者から実業家へ転身したが、その夢は決して変わらなかったのだ。

「ベッドの枕元にあるわよ。自分で取ってきて!」

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