第49章 腕を振るう(1)

綾瀬玲奈は顔を赤らめ、心臓がドキドキしながら慌てて否定した。

「何言ってるのよ!同じ家に住んでいるだけで、同棲なんかしてないわ!」

綾瀬玲奈の説明は野崎明美の耳には言い訳めいて聞こえた。彼女は綾瀬玲奈がただ恥ずかしくて認めたくないだけで、そんな言い訳をしているのだと思い込んでいた。

「朝からそんなに盛り上がって何を話してるの!綾瀬玲奈、申し送り終わった?それに野崎明美、患者さんの包帯交換は全部済んだの?」

師長は二人が話し込んでいるのを見るなり厳しい表情になった。

二人は舌を出して、すぐに頭を下げて仕事に戻った。彼女たちは師長が口は厳しいが心は優しいことを知っていたので、逆らわなけ...

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