第50章 腕を振るう(2)

婦人科医は電話を終えると梓川文香に病状を説明した。先ほど葉山天が救助した女性であり、記者として働いていた。梓川は日頃から夜遅くまでニュース取材に奔走し、数日前から腹痛を感じていたが我慢していた。単なる小さな問題だと思っていたが、今日はあまりにも痛みがひどくなり病院を訪れた。しかし、外来棟に入る前に痛みで意識を失ってしまった。幸い、葉山天に出会い、彼によってすぐに産婦人科外来へと運ばれたのだった。

葉山天の助けにより、梓川文香はすぐに入院することになった。泉川久守が他の患者の対応を終えて駆けつけると、病室に葉山天の姿を見つけた。「葉山君、あなたもここにいたの?」

最も驚いたのは泉川でも葉山...

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