第51章 腕を振るう(3)

泉川久守は婦人科の主任でありながら、今日は他人の助手を務めることになった。この知らせが広まるや否や、多くの婦人科医が手術見学に集まってきた。梓川文香の症例を見た衆人は驚嘆の声を上げた。先天性血管奇形は非常に重度で、少しでも失敗すれば医療事故につながりかねない。

手術のリスクは極めて高く、これらの経験豊かな医師たちも思わずため息をついた。執刀医が若い男性医師だと知ると、皆一様に目を丸くした。主任は一体どうしたのだろう?こんな重要な手術を若い医師に任せるなんて。

葉山天と泉川久守が手術着に着替えている時、入口で見ていた二人の婦人科医が話し始めた。「あの男性医師は泉川主任が新しく採用した人だっ...

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