第52章 腕を振るう(4)

手術が始まり、開腹に成功した後、場の緊張感は高まっていった。特に泉川久守は神経を尖らせていた。これから先に進むと、奇形血管に触れることは避けられないことを知っていた。蜘蛛の巣のように広がるそれらの血管は太くはないものの、異常なまでに血液で満ちており、内部の圧力は通常の血管をはるかに上回っていた。

腹腔に入ると、梓川文香の急性血管が子宮の上部を遮るように露出していた。この大量出血を効果的に防げなければ、手術を続行することは不可能だった。

「銀針を」

葉山天は顔を上げることなく左手を差し出した。泉川久守が銀針を渡そうとした瞬間、外から見学していた婦人科医の一人が我慢できなくなったように消毒...

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