第55章 別の刺激

手術台の上であれば、あるいは女性患者を相手にする場合、たとえ相手が一糸まとわぬ姿であっても、葉山天は何の生理的反応も示さなかっただろう。実際に経験した者だけが知っているが、患者を前にすると、相手を女性として見ることはない。そして病気で弱っている女性や男性に対しては、九十九パーセントの確率で性的欲求など抱かないものだ。

しかし今は違う。桜島春奈は患者ではなく、正常な女性であり、さらには葉山天の上司でもある。上司のへそ下三寸あたりを触るというのは、葉山天にとって刺激的でありながらも後ろめたさを感じることだった。万が一この女が手のひらを返したら厄介なことになる。

葉山天の心配は根拠のないもので...

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