第88章 一緒に寝ないか(1)

「あんた、医者だったの?」

十三は驚きの声を上げた。葉山天がただの一般人ならまだしも、まさか医者だったとは。彼女にはにわかに信じがたい事実だった。

「何だ、俺が医者じゃ悪いか?」

葉山天の親父は医者だった。かつては医学の道になど進みたくなかったが、やはり血は争えないということか。幼い頃からの見聞きに加え、海外で出会った師匠の神業とも呼べる漢方医術に魅せられ、いつしか医学にのめり込んでいったのだ。

葉山天は傭兵家業の傍ら、師匠について医術を学ぶこと四年。その腕前は、並の大学教授など足元にも及ばない領域に達していた。師匠が伝説的な老漢方医であったことに加え、戦場で傷ついた仲間たちを...

ログインして続きを読む