第4章

寝室の片隅、段ボール箱はかつて私が「思い出」と呼んだもので溢れていた。だが今、それらはただの笑えない冗談にしか見えなかった。

一番上にあったのは、ライトグレーのカシミヤのマフラーだ。付き合い始めて最初の冬、私はこれを買うために二晩も徹夜して翻訳の仕事をこなした。千明はそれを首に巻いて「完璧だ」と言ってくれた。その二週間後、それが愛理の首に巻かれているのを見るまでは。

マフラーの下には『夜と共に西へ』があった。扉ページには、私の手書きのメッセージ。

『千明へ。あなたの旅路が、いつも星に導かれますように』

彼は私がそれを渡した時、パラパラと適当にめくって「文学的すぎるよ」と言った...

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