第5章
高場商社を辞めてから、まだたったの一日。
それなのに私の携帯は、嫌がらせのように鳴り続けている。
「宮坂部長、銀行から四半期報告書の催促が来ているんですが、どうしても数字が合わなくて……なんとかなりませんか」
私は彼の言葉を遮った。
「私はもう退職したの。越川明季に頼めばいいでしょう」
受話器の向こうから、悲鳴のような声が響く。
「ですが越川さんは何も分かってないんです! 『そんなのは下っ端の仕事でしょ、自分たちで何とかして』って丸投げで……。部長、お願いします! まだ社長と離婚されたわけじゃないですし、会社の株だってお持ちじゃないですか……」
「だったら、高場幸之助に...
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