第7章

 会場中の呆気にとられた視線を浴びながら、幸之助はマイクスタンドを力任せに薙ぎ倒した。警備員を突き飛ばし、無様な格好で私へと突進してくる。

 私は思わず、冷ややかな笑みを漏らした。

 こんな状況になってもなお、彼は信じているのだ。私を捕まえさえすれば、過去五年間そうしてきたように、私が全ての不始末を尻拭いしてくれると。

 私は足を速め、エレベーターホールへと急いだ。

 湿り気を帯びた冷たい手が、私の手首を死に物狂いで掴んだ。

「捕まえた……莉世、やっぱり俺を見捨てたりしないよな!」

 幸之助は肩で息をしながら、私の目の前に縋り付いてきた。

「早く! 俺と一緒に下へ来てくれ!」

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