第9章

 あの再会を経て、幸之助はようやく観念したようだ。

 聞くところによると、彼は越川明季を連れ、ほうほうの体で大阪の実家へ逃げ帰ったらしい。

 元同僚の話では、東京を去る日、越川明季は強気にも幸之助をこう励ましていたという。

「あのババアがいなくたって、私たちならやれるわ! 大阪こそが私たちのホームグラウンドなんだから」

 幸之助はその戯言を真に受け、自分はただ不遇なだけだと信じ込んでいたようだ。

 しかし、ビジネスという名の戦場において、私の采配なしでは、彼らは狼の群れに丸腰で放り込まれた赤子も同然だった。

 半年後、凶報が相次いだ。

 軽井沢プロジェクトという後ろ盾を失い、高...

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