第10章

 窓の外の風が止んだ。

 月光が寝室に差し込み、神宮寺直方の蒼白な顔を照らしている。

 彼は薬瓶の蓋を開け、中に入っていた白い錠剤をすべて口の中に流し込んだ。

 私はベッドの足元に浮かび、冷ややかにその光景を見つめていた。

「カハッ……」

 薬の効果は早かった。

 神宮寺直方は痙攣し始め、顔色は土気色に変わっていったが、その口元には笑みが浮かんでいた。

「知遥……」

 彼は虚ろな目で宙を彷徨い、手を伸ばした。

「そんなに急いで行くなよ……待ってくれ……」

「今度は……俺が迎えに行くから……」

「もう待たせない……二度と待たせたりしないから……」

 私は、虚空を掴もうと...

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