第7章

 葬儀から三日目、弁護士が訪ねてきた。

 彼が携えてきたのは一通の書類。私の遺言書だ。

 いや、正確には、私が以前から用意していた離婚届だった。

 神宮寺誠は祭壇の前で膝をつき、その書類を受け取った。

 表題には『離婚届』の文字。

 署名欄には、すでに私の名前が記されている。日付は一ヶ月前だ。

「あいつ、俺と離婚するつもりだったのか?」

 神宮寺誠は指先でその署名をなぞり、呆然と呟いた。

「なんでだ? 俺は同意していない。こんなもの無効だ」

 弁護士はため息をついた。

「神宮寺さん、小林様は離婚届だけでなく、遺言書も作成されていました。彼女名義のすべての財産、および結婚前...

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