第7章
桐生家の書斎にて、博之は詩音の骨壺を抱きしめ、無表情のままアシスタントである田中の報告を聞いていた。
「社長、如月優希は昨夜死亡しました」
田中は恐る恐るといった様子で告げる。
「失血によるショック状態で、手当の甲斐なく」
博之の表情には何の変化もない。まるで天気予報でも聞いているかのようだ。
「如月夫妻は?」
「お二人は、社長こそが如月詩音を死に追いやった元凶だと非難しております。社長が彼女を刑務所に入れなければ、死ぬことはなかった、と」
田中は一旦言葉を切り、続けた。
「警察に社長を告訴するつもりのようです」
博之は冷笑した。
「そうか。ならば好きにさせろ」...
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