第4章
美咲視点
実家からの帰り道、私は離婚届をバッグに隠し、車を走らせていた。
邸宅は、今朝家を出た時と何一つ変わらない姿でそこにあった。
『この家は、いったいいくつの嘘を見届けてきたのだろう』
駐車場に車を停め、しばらく玄関のドアを見つめる。『あのドアをくぐれば、また何事もなかったかのように振る舞わなくてはならない』
決心がつかないうちに、玄関のドアが開いた。中から漏れる暖かい光を背に、隆志さんのシルエットが浮かび上がる。
「おかえり」彼はそう声をかけ、階段を駆け下りて私の車へと向かってくる。「心配し始めたところだったんだ」
『本当に? それとも、由香里との次の逢瀬...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章
5. 第5章
6. 第6章
7. 第7章
8. 第8章
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