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ベッドの上であぐらをかき、私はセレーネの日記に隠されていた箱から取り出した紙片を広げ、じっと見つめていた。暗号で書かれたメモの文字列を目で追い、何かひらめきが降ってくるのを期待したが――何も浮かばない。この日記を私に渡した何者かは、私を苦しめるのが目的なのではないか。そんな考えが頭をよぎり、胸の内でいらだちが燻っていた。

メモには三種類の、明らかに異なる筆跡が残されていた。どれもセレーネのものではない。その事実は私の疑念をさらに深めた。これらは彼女が受け取った秘密のメッセージで、おそらく協力者からのものだろう。メモを注意深く見れば見るほど、いくつかのパターンが浮かび上がってくる。同じ暗号方式...

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