チャプター 110

レオ視点

灼熱の液体のような痛みが胸で炸裂し、弾丸が筋肉と骨を食い破った場所から放射状に広がっていった。足の力が抜け、俺は儀式用の演壇に激しく倒れ込んだ。その衝撃が、傷ついた体にさらなる苦痛の波を送る。

リナは無事だ。痛みの霞の中で、最初にまともに考えたのはそれだった。弾は彼女には届かなかったのだ。

周囲では混沌が巻き起こっていた。悲鳴が聞こえ、脅威に反応して狼の姿に変化する群れの仲間たちの気配、そしてエリアを確保しようと走る戦士たちの足音の振動を感じる。だが、それらすべてが遠く、くぐもって聞こえた。まるで別世界で起きている出来事のように。

唯一、痛いほど鮮明に感じ取れたのは、番(つが...

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