第十四章

リナ視点

意識が戻ってくる感覚は、絹の上に注がれた蜂蜜のようだった。ゆっくりと、温かく、そして信じられないほど甘美に。最初に感じたのは、腰に回されたレオの腕の心地よい重み。独占欲を露わにするその腕と、眠っている間に無意識に私の背中をなぞっていた指先の感触。次に感じたのは、乱れたシーツに染みついた男の色気漂う香り――松と杉、そして彼特有の何かが混じり合い、私の中の狼を満足げに喉を鳴らせる香りだった。

金色の朝陽が薄いカーテンを通して差し込み、レオの彫刻のような胸元に踊る影を落としている。規則正しい寝息と共に上下するその胸。私はただ彼が眠る姿を見つめるという贅沢に浸り、頬骨にかかる長い睫毛や、...

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