チャプター 138

リナ視点

ポール・マッケンジーがバスルームに足を踏み入れた瞬間、氷水が血管を駆け巡るような恐怖が全身を貫いた。彼がいるだけで、大理石の空間が脅威に満たされる。剥き出しの上半身には無数の戦いでついた傷跡が刻まれ、その一つ一つが彼の暴力性を物語っていた。エメラルド色の瞳が私の無防備な体を舐め回すように見つめ、その視線に肌が粟立つほどの嫌悪感を覚える。それでも、彼から放たれる捕食者のような磁力に抗うことはできなかった。

「邪魔をしてすまないね、愛しい花嫁さん」彼は囁くように言った。その声には、今では純粋な悪意を隠していると知っている、見せかけだけの優しい響きが乗っていた。「だが、我々にはもっと……...

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