チャプター 14

リナ視点

レオが去ってキッチンのドアが閉まると、私は知らず知らずのうちに止めていた息を吐き出した。彼の圧倒的な存在感が薄れるにつれて、安堵から肩の力が抜けた。けれど、あたりには松と冬杉の残り香がまだ漂っていて、私の意思に反して脈が速まる。

『この忌々しい運命の番いの絆が』

胸に広がる微かな温もりではなく野菜に集中しようと、ナイフを強く握りしめると指が震えた。

鋭い痛みを自分を現実に引き戻すための拠り所にして、下唇を強く噛んだ。彼が近くにいるだけで体が裏切るのが屈辱的だった。頬に広がる熱、震える手、そして突然まともな文章が作れなくなること。

再び拒絶されること――今度は二人目の運命の番...

ログインして続きを読む