第143章

ポール視点

リナが慎重に、計算された足取りで俺の玉座に近づいてくる。俺が仕組んだ屈辱的な見世物にもかかわらず、彼女は顎を高く上げていた。その姿を見ていると、俺の顔に笑みが広がった。それは純粋で、混じりけのない歓喜だった。乳母たちが語ってくれた完璧な狼の群れのおとぎ話を聞いていた子供の頃以来、味わったことのない種類の幸福感だ。

『とうとうだ。長年の時を経て、彼女がここにいる』

「我が忠実なる者たちよ」俺の声は、混み合った広間によく響き渡った。「我々が待ち望んだ瞬間が、ついに来たのだ!」

群衆の咆哮は陶然とさせるものだったが、真紅のドレスをまとって俺の前に立つリナの姿ほどではなかった。その体の曲...

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