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レオ視点

沈黙が二人の間に横たわり、言い出せない言葉の重みがのしかかる。リナが何かと葛藤しているのが見て取れた。視線を膝に落としたまま、その指先は落ち着きなく毛布の端を弄っている。張り詰めた肩のラインが、共有すべきか否か迷っている記憶の存在を物語っていた。

「レオ」彼女がぽつりと口を開く。その声は囁きと変わらないほど小さい。「あるの……あなたに話さなきゃいけないことが。あそこにいた時、何があったのか」

胃の腑がずんと重くなる。彼女が戻ってきて以来、俺が必死に保ってきた自制心が、音を立てて崩れそうになった。「無理に言わなくて——」

「言わせて」彼女が顔を上げる。その瞳に宿る脆さに、胸...

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