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レオ視点

バスルームは温かい湯気で満たされていた。俺は湯加減を調節し、手で触れて完璧かどうか確かめる――熱すぎず、ぬるすぎず。彼女のためには、すべてが完璧でなければならない。あんな目に遭った彼女には、完璧以外のなにものでもない扱いこそがふさわしいのだ。

リナの方へ振り返ると、彼女は戸口に立って俺を見つめていた。その表情に、俺は息を呑む。戻ってきてからずっと彼女の顔に影を落としていた、あの怯えたような表情ではない。まったく別のもの――欲望と信頼、そして俺自身のそれと同じだけの渇望を物語るなにかだ。

「お湯、入ったよ」

俺は言ったが、その声は意図していたよりも低く、荒いものになった...

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