チャプター 23

レオ視点

拳を壁に叩きつけると、漆喰が砕け散ったが、痛みなどほとんど感じなかった。エヴァンの腕に抱かれたリナの姿が、まるで忌々しい拷問器具のように、頭の中で何度も再生される。胸が苦しい。誰かに肺へ有刺鉄線を巻き付けられ、それをゆっくりと締め上げられているような感覚だ。

言葉を吐き出した瞬間、俺は後悔した。彼女の顔――ああ、何てことだ。傷ついて大きく見開かれた青い瞳には涙が溢れ、まるで俺に頬を張られたかのように身をすくませていた。だが、言葉を取り消すことなどできなかった。プライドはずたずたにされ、嫉妬という病に内側から食い荒らされていたのだから。

俺はその場から荒々しく立ち去ったが、手は激...

ログインして続きを読む