チャプター 30

リナ視点

足が止まり、とっさに壁に身を押し付けた。心臓が不安で一気に高鳴り始める。唸り声が、今度はもっとはっきりと聞こえた。まるで……エイミー? そんなはずはない。一瞬、好奇心が警戒心を上回り、私はそろそろと前に進んだ。強化された聴覚が、はっきりと二つの声を――間違いなくエイミーと、それから男性の声――を捉えた。その低い声には聞き覚えがあった。ノアだ。

廊下の突き当たりまで来ると、二人の姿が見えた。エイミーは壁に背をつけ、そのオレンジ色の髪は薄暗い光の中でも鮮やかだった。彼女はノアに向かってほとんど唸るようにしており、一方、彼女を見下ろすように立つノアの顔には、面白がるような、それでいて真...

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