チャプター 38

レオ視点

俺は部屋の中を歩き回りながら、今朝見たリナの顔を何度も脳裏に蘇らせていた。

スマホを届ける役目は、俺が言い出したことではなかった。母さんの書斎の前を通りかかったとき、リナに新しい携帯を渡すようスタッフに指示しているのが聞こえたのだ。何も考えずに、俺は部屋に飛び込んでいた。

「俺がやるよ」俺は言った。少し必死すぎたかもしれない。

母さんは片眉を上げ、全てお見通しだと言わんばかりの笑みを浮かべた。「あら、あなたが?」

「いや、その……」俺は咳払いをし、何でもない風を装った。「どうせそっちに行く予定だったから」

『嘘つきめ』シャドウが頭の中でからかうように言った。『ただ彼女に会...

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