チャプター 46

レオ視点

「クソッ」と、俺は小声で吐き捨てた。振り返ってリナを見る。彼女が身じろぎしたので俺は凍りついたが、彼女は顔を枕に深く埋めただけだった。

俺は廊下へ出ると電話に出た。「余程の用件なんだろうな、ノア」

「ああ、重要だ。戻ってきてくれ。今すぐに」彼の手厳しい、切迫した声の響きに、俺は思わず背筋を正した。

本能的にはすぐに拠点へ戻るべきだと判断したが、この人里離れた小屋にリナを一人残していくことを思うと、胸が締め付けられた。俺の中で、狼の『シャドウ』が落ち着きなくうろうろと歩き回り、縄張りを守ることと、番(つがい)を守ることの板挟みになっていた。

「何があった?」俺は無理やり言葉を...

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