チャプター 48

リナ視点

本宅までの道のりが、いつもより長く感じられた。強化された私の感覚が、ノアの様子のあらゆる些細な変化を捉えていたからだ。彼の顎はこわばり、その匂いにも何かいつもと違うものが混じっていた。

『何かがおかしいわ』

スノーが私の心の中で、不安を滲ませた声で囁いた。

心の中で頷くことしかできない。アルファの邸宅に近づくにつれ、レオがくれたジャケットの裾を無意識に握りしめていた。建物の壁に染み付いた松と杉の馴染み深い香りは、本来なら心を落ち着かせてくれるはずなのに、今日は緊張をはらんで重く感じられた。

ノアは私を正面玄関から中へと導き、アンドリューのオフィスへと続く廊下を進んだ...

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