チャプター 72

リナ視点

三日間は思ったよりもあっという間に過ぎ、突如としてその日――群れの集会の日がやってきた。

夜明け前に目を覚ますと、胃がキリキリと痛んだ。期待と恐怖が入り混じった、すっかりお馴染みになった感覚だ。澄み切った朝の空気は松と雪の香りを運んでくる。けれどその奥に、いくつもの狼の群れが私たちの縄張りに集結しつつある気配を感じ取れた。

『今日は何かが違う』心の中でスノーが囁く。その不安は、私自身のものとそっくりだった。

『わかってる』私は黙って答えた。『私にも感じる』

私は早くから厨房へ向かった。忙しくしていれば、神経の高ぶりも少しは落ち着くかもしれないと思ったからだ。マリアの領域である厨...

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