第11章

「あっ、お兄ちゃんお兄ちゃん、大洪水になっちゃうよ!どうしよう、どうしよう!」

「次郎、早く蛇口を閉めて!」

「うわぁ、閉められないよ!」

「……」

三人の子供たちが大声で叫んでいた。

平野純平は急いで車椅子のスイッチを押して玄関まで移動すると、花に水をやるためのシャワーヘッドから、清水がどんどん噴き出しているのが見えた。

三人の子供たちは全身びしょ濡れで、途方に暮れた表情で立っていた。

「どうしたんだ?」

「イケメンおじさん、蛇口が閉められないの」

大澤亜美は小さな足で平野純平の側まで駆け寄り、切羽詰まった様子で言った。

蛇口が閉められない?

平野純平は少し目を細めて...

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