第15章

ドアがぱたりと開いた。

警官は大澤玲子に向かって言った。

「出られますよ」

大澤玲子は一瞬固まった。

「本当に出られるんですか?」

「出たくなければ残ってもいいですよ」警官が言った。

彼女がここに残りたいわけがない。

大澤玲子は急いで後について出た。

「警官、山田博之さんは告訴を取り下げたんですか?」

「取り下げました」

取り下げた?

山田博之の良心が目覚めたのか?

そんな風には見えないけど!

大澤玲子は疑わしげな表情を浮かべた。

留置場を出ると、山田博之が額に包帯を貼り、警察署の入り口に立っているのが見えた。

彼女が出てくるのを見ると、彼はどこか取り入るような...

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