第21章

平野純平は車椅子に座って医学書を読んでいると、庭から大澤亜美の泣き声が聞こえてきた。

あの子は紙飛行機で遊びに行ったはずなのに、どうして泣いているんだ?

平野純平は眉間にしわを寄せ、急いでドアを開けると、大澤亜美が泣きながら走って戻ってくるところだった。

「亜美ちゃん、泣かないで。何があったの?」平野純平は急いで尋ねた。

「イケメンおじさん、ぷくちゃんが私の紙飛行機を取ったの。貸してあげないって言ったら、父親のいない子だって言われて、押されちゃった」

大澤亜美はしゃくりあげながら泣いていた。

平野純平は息を詰め、心配そうに彼女の涙を拭いてあげた。

「亜美ちゃん、いい子だから泣か...

ログインして続きを読む