第26章

翌日の朝。

「亜美ちゃん、走っちゃダメ、髪をきちんと結んでから降りなさい」

大澤玲子は子供部屋に行き、髪を振り乱したまま階下へ駆けようとする娘を捕まえて、椅子に座らせた。

「ママ、イケメンおじさん見に行きたいの、早くしてよ!」

大澤亜美は小さな手を弄びながら、甘えた声で言った。

大澤玲子は娘の髪を整えながら、笑いながら叱った。

「この恩知らずな子、どうして朝早くからママを見に来てくれないの?」

「だってママは病気じゃないもん!イケメンおじさんはかわいそう、ベッドで動けないから、早く降りて一緒にいてあげなきゃ」

大澤亜美は甘い声で答えた。

大澤玲子は言葉を失った。

娘の二つ...

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