第40章

下川南路、坂口武治の実験室。

大澤玲子は坂口武治について実験室を見学し、時間が来たので辞去しようとした。

「先輩、そろそろ失礼します」

これ以上帰りが遅くなると、家のあの几帳面な四郎がまた不機嫌な顔をするだろう。

坂口武治は彼女を見つめた。

「明日からすぐに手伝ってくれたらなぁ」

大澤玲子は微笑んだ。「じゃあ、お忙しいところすみません。タクシーで帰りますから」

「そんなわけにはいかないよ。送るよ」

坂口武治は車のキーを取り、彼女を家まで送ることにした。

車が村の入口を通りかかると、大澤玲子は路肩に停まっている高級車を見かけた。

彼女は少し不思議に思った。

あの車は最高級...

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