第41章

上原家の兄妹が帰った。

終始無言だった坂口武治は平野純平の方を見て、彼に手を差し出した。

「まさか噂の平野社長とは、お名前は伺っております。坂口武治と申します」

「どうも」

平野純平は彼と軽く握手を交わし、朝三人の子供たちを学校に迎えに来た男だと認識した。

「大澤先生の先輩ですか?」

「ええ、私と玲子ちゃんは一緒に育ちました。いわゆる幼馴染ですね」

坂口武治は穏やかに微笑んだが、平野純平は彼の目に男同士にしか理解できない光を見た。

二人の手はまだ握られたままで、空気が急に妙な雰囲気になった。

「先輩、お忙しいでしょう。どうぞお仕事に戻ってください」大澤玲子が口を開いた。

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