第54章

三人の兄弟は視線を交わし、次郎は不安そうにごくりと唾を飲み込み、心虚な表情を浮かべた。

太郎はしばらく黙ってから、小さな手を挙げた。

「ママ、ごめんなさい。僕がやったんだ」

彼は長男として、弟や妹が間違いを犯せば、自分にも連帯責任があるのだ。

「あなたが?」

大澤玲子は疑わしげに太郎を見つめ、少し信じられない様子だった。

太郎の性格はとても落ち着いているはずだ。

こんなことをするタイプには見えないのに。

「違うよ、僕がやったんだ」

次郎は太郎が責任を引き受けたのを見て、勇気を出し、弱々しく声を上げた。

大澤玲子は眉を上げた。

「あら、あなただったの?」

次郎は活発な性...

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