第56章

下川病院の薬材庫。

研究員たちは全員集まり、大澤玲子の抜き打ち検査を行う準備をしていた。

上原陽は傲慢な表情で言った。

「大澤先生、もし覚えていなくても恥ずかしがる必要はありませんよ。誰だって人間ですから、見栄を張るより正直な方がいいでしょう」

「始めましょう」

大澤玲子は余計なことは言わず、淡々と口を開いた。

「七番棚の薬材」

「レンギョウ、清熱解毒」

薬材庫の医師は棚の中の薬材を確認し、頷いた。

上原陽はさらに検査を続けた。

「十六番棚」

「タイセイヨウ、苦鹹大寒」

薬材庫の医師は再び頷いた。

「七百番棚」

「……」

質問と回答が続き、大澤玲子はゆっくりと落...

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