第58章

「玲子ちゃん、これあげる」平野大輝は目元に笑みを浮かべながら言った。

大澤玲子は美しい眉を寄せた。

「平野大輝、もし私に許してほしいなら、私を知らない人として扱ってくれた方がいいわ」

平野大輝は彼女を見つめた。

「玲子ちゃん、もし俺たちが他人になるなら、それなら君に憎まれていた方がまだいい」

愛があるからこそ、憎しみも生まれるのではないか。

大澤玲子は言葉に詰まった。

「平野大輝、こんなことして何が楽しいの?」

平野大輝は答えた。

「玲子ちゃん、好きな人のために、関係を元に戻そうと努力することは、俺には十分意味があると思うよ」

大澤玲子はいらだちを覚えた。

「平野大輝、...

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