第7章

 私は迷わず答えた。

「気にしていません。私たちは契約上の夫婦です。外野が何を言おうと重要ではありません」

 賢一は数秒沈黙し、低い声で言った。

「それだけか?」

 私は強く頷く。

「はい。私はただ、この家で自分の足場を固め、自力で生きられるようになりたいだけです」

 彼は背を向け、それ以上何も言わずに去っていった。

 翌朝、ベッドサイドテーブルに黒いベルベットの箱が置かれていた。中には精巧なダイヤモンドのネックレスが収められ、カードが添えられていた。『昨夜の礼だ』。

 私は一瞬呆気にとられたが、すぐに理解した。これは賢一なりの感謝なのだ。昨夜、VIPの席で彼の面目を保ったこ...

ログインして続きを読む