第5章

午前六時きっかり。新聞売りの少年の甲高い叫び声が、朝のまどろみを突き刺した。

「女子学生の危険極まる無能さ、労働者を死に至らしめるところだった!」

心臓が、暗い水底に投げ込まれた石のように沈んだ。薄いカーテン越しに、眼下の石畳に人だかりができているのが見える。まだインクも乾いていない毎朝新聞をひったくるように買い求める人々の熱心な顔が、早朝の光に照らし出されていた。

栗山紗雪が、遠慮もなく部屋のドアを突き開けて入ってきた。まだ湿っぽい新聞を握りしめている。

「千紘、すぐにこれを見て!」

見出しは、まるで物理的な殴打のように私を打ちのめした。その断罪するような言葉の下に、私の...

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