第7章

灰原景視点

階下の廊下から響いてきた騒ぎに、私は書類から顔を上げた。研究室から駆け出すと、春田須賀が包丁を手にきらめかせながら、階段を駆け上がってくるところだった。

その目は狂気に燃えていた。つい先ほど、彼は傷ついた獣のように叫びながら大ホールに乱入したのだ。

「どこだ?俺の家族をめちゃくちゃにしたあの呪われた女はどこにいる!」

高い天井に彼の声が木霊し、学生たちは恐怖に駆られて散り散りになった。

「嘘のせいで、俺の妻は死んだ!あの金は俺たちを助けるはずだったのに、妻の魂を殺しやがった!」

彼は絶望的に喚き散らした。

「奴らは俺に真実とパンのどちらかを選ばせた……そし...

ログインして続きを読む