第6章
美咲視点
違う! 私が書いたものじゃない!
私は手紙を睨みつけた。怒りと絶望が入り混じる。筆跡は確かに私のものだったけれど、こんな言葉、口にした覚えなんてない! どうしてこんなことができるの? どうしてこんな風に私を陥れるの?
手紙を読んだ後、隆志の手は激しく震えていた。その手から手紙が滑り落ち、ひらひらと床に舞った。
「彼女は……本当に俺のことを、そんな風に思っていたのか?」彼の声は途切れ途切れで、その瞳は痛みと自責の念に満ちていた。「俺は、そんなに酷い男だったのか?」
「タカシ……」恵子が偽りの慰めを口にする。「もしかしたら、これがみんなにとって一番いいことなのかもし...
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チャプター
1. 第1章
2. 第2章
3. 第3章
4. 第4章

5. 第5章

6. 第6章

7. 第7章

8. 第8章

9. 第9章


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