第8章

隆志視点

俺は美咲のために、密かに葬儀を執り行った。

参列者はなし、儀式もなし。ただ俺一人だけだ。彼女が最も愛した公園に、彼女が眠るその地に、俺は自分の手で質素な白い大理石の墓石を建てた。

刻まれた文字は、わずか二行。

桜井美咲

我が永遠の愛

俺は墓石の前にひざまずき、彼女が好きだった白い薔薇の花束をそっと置いた。

「ごめん、美咲」俺はかすれた声で言った。「来るのが、遅すぎた」

そよ風が墓石を撫でた。まるで彼女が応えてくれているかのように。

「君を守っているつもりで、君をこんなにも独りにしてしまった」震える手で、冷たい石の表面に触れる。「やり直せるなら、ど...

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