第109話

「いやはや、ひどい有様だったな」

カルロスは鼻を鳴らし、漆黒の眉を片方上げながらグラスを大きく傾けた。彼は心配しているというより、単に迷惑がっているように見えた。

そこで私は、部屋にいるのが私たち二人だけではないことに気づいた。私に触れたあの少女がカルロスのそばへ跳ねるように駆け寄り、彼の脚に守るように腕を回したのだ。カルロスの髪色と同じハシバミ色の瞳が、じっと私を見つめている。私はカーペットの上に大の字になったまま、世界が回転を止めるまで、ただ呆気にとられて彼女を見つめ返していた。

「初めてにしては、なかなか上出来だったんじゃない?」

冷静で落ち着いた女性の声が、私を品定めするように...

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