第120話

「ねえ、教えて。ティアナから何を感じ取った?」

暗いSUVの中に沈黙が降りていたが、ルイスがそれを破るように尋ねた。私たちはピーターとルイスの率いる群れ(パック)に向かって車を走らせているところだった。前方からはチェリーとタバコの香りが漂ってくる。そこには二人の護衛が黒い服に身を包んで座っていた。キャットはルイスとピーターの隣に窮屈そうに押し込まれていたが、たとえ居心地が悪くとも、彼女を別の車に乗せるわけにはいかなかった。番(つがい)と親友の両方を失った私には、これ以上リスクを冒す気などなかったのだ。たとえ向かう先が安全な場所だとしても。キャット自身は気にしていないようで、むしろルイスのこと...

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