第133話

力を込める必要などなかった。ほんの少し引くだけで、熱が体中を駆け巡った。すぐに頭が軽くなり、肌にこびりついた乾いた血越しでさえ、世界の色が鮮やかに感じられた。肩の刺し傷が塞がっていくのがわかる。

その力をすべて独り占めしたいという誘惑に駆られたが、私はそれを足元の地面へと解き放った。大地が震える直前、土の下を鋭い鼓動が波打っていくのを感じた。狼たちはなぎ倒され、互いに重なり合って転倒する。通りには亀裂が走り、舞い上がった土煙が一時停止の標識をなぎ倒した。

無事だったのは、私と双子が立っている場所だけだ。土煙が晴れると、戦いは止んでいた。何千もの視線が私に突き刺さる。そのすべてが好意的なわけ...

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