第152話

リリス視点

月曜の朝は、得体の知れない不安と共に幕を開けた。まるで、登るつもりもなかった崖の縁で、今にも落ちそうになりながらふらついているような気分だ。昨晩のダリアとの会話で消耗しきっていたせいもある。金持ちの支援者たちに媚びを売る際、私が間抜けに見えないようにと、オークションだかなんだかという馬鹿げた話の詳細を彼女から根掘り葉掘り聞き出したからだ。

午前中は電話対応から始まった。成果があったのはたったの二件。一件目はフットボールのチームコーチだ。彼は、手塩にかけたスター選手たちが新聞記事になると聞いて有頂天になっていた。そのはしゃぎようは子供じみていて、記事には自分も選手と一緒に写った写...

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